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雖然知道但無法停止
by haruhico
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【新企画】My Mentor~#1 矢木哲雄
[まえがき]
日頃お世話になっている「MY予備校ブギ -なぜか輝いていたあの頃-」を読んでいて自分なりの浪人時代のまとめが書きたくなったので、管理人のMgieeさんの了承を得て同一フォーマットでまとめてみた。Mgieeさんと同一の講師を扱うこともあるが、受講時期やそれぞれの学力が違う(笑)ので必ずしも同一の内容になるとは限らない。
一応、「MY予備校ブギ」同様、私が直に(サテラインを含む)受講した講師のみ取り上げる。


やぎ てつお

[略歴]
東京工業大学卒業後、化学系の大手企業に就職。退職後代々木ゼミナールで数学を担当。
第1回のサテラインでは「基礎強化 代数幾何・基礎解析ゼミ」を担当。
90年代後半から医歯薬進学コース中心に教鞭を執る。
代々木ゼミナール講師
洗足学園音楽大学講師
個別指導塾アイリスオンライン講師
プリパス講師

[主な担当講座](代々木本校と各期講習のみ札幌校に出講)
『実力アップ数Ⅰゼミ』
『基礎 代数幾何・基礎解析ゼミ』
『代数幾何・基礎解析ゼミ』
『理系数学(微積中心)ゼミ』(以上 単科講座/各期講習)

『早慶理系数学ゼミ』(各期講習)
『ポイントの中のポイント―最終チェック』(直前講習)
『隠れた公式使い方のポイント』(直前講習)

[著書・連載]
「矢木哲雄のセンスアップ!数学」(「Alpha」連載・1989/4~90/3、1994/4~1995/3)
「知恵の森文庫 新版 センスアップ数学」(プリパス)
「知恵の森文庫 センスアップ 数学ⅠAⅡB」(プリパス)
「三角関数の基礎」(代々木ライブラリー・60分×3巻)
「ホーム予備校 VersionⅡ」 数学2ndステージ/3rdステージ(コアフィールド・60分×15巻)

[講義スタイル]
「定義」と「図」に独特のこだわりを持った講義。
問題ごとのポイントを「Pt.」という記号のあとに一文でまとめる。1題1題を丁寧に説明するため1コマ(90分)2題程度の進度はザラ。そこへ代ゼミ数学科屈指の長さを誇る雑談(笑)と、類題演習が加わるため、終盤は板書をプリントしたものを解説するだけになることも。
テキストは、受験生共通の盲点を含んだ基本的な問題と、あまり参考書に載っていないようなとっつきづらい問題が中心。巻末に講義用メモとして各単元の定義や重要公式がまとめられている。「実力アップ数Ⅰゼミ」のテキストにのみ「共通一次・センター試験」数学の過去問(本試・追試)全てを掲載。
解法はいわゆる「大学への数学」系の鮮やかな解法を好む。問題にもよるが「別解」も多く示し、特に「行列のn乗計算」では9通りの解法を示す。
師の講義の最大の特徴は定義に対するこだわりで、たとえば「不等式をはやくとく」は「実力アップ数Ⅰゼミ」の一つの「売り」だったが、ココで語られる「『≦』の名称は?」などは多分他の講師の授業では聴けないものであろう。
もう一つの特徴がその雑談(自慢話)量の多さ。受験勉強の範囲を超えた教養レベルの話は切羽詰まっている受験生からは反感を買っていたが私は好きだった。特に各期講習の初日1コマ目(60分)は「勉強の仕方」に関する雑談に終始するのが「お約束」(さすがに冬期はそれほどでもないが)だった。当時のトップ講師が総じて「質問厳禁」だったにもかかわらず、「質問歓迎」のようであった(但し、単に問題の答えを訊きにいくのは×)。
「図」は大きく多めに丁寧に、がモットーのため、カラーチョークを使って描く。第1回のサテラインゼミに出講したが、サテライン自体がまだ撮影のノウハウが確立していない時期だったため、カメラが板書を追い切れないと苦情を受けた(サテラインは91年度まで出講)。

[コラム]
■当時の代ゼミトップ講師全般がそうであったように、私生活について謎が多い。明かしているのはマラソンとバスケット好きなことくらい。講義中の雑談でもよく受験勉強をマラソンに例えていた。
■各期講習だけ札幌校に出講しており、同じく代々木校から札幌校に出講していた吉沢康夫師や森久師と仲がよい。他にも原秀行師がよくネタにしていた。
■講習初日の「オリエンテーリング」の中で「いい参考書」の選び方を話すが、そこで必ず「解法のテクニック 代数幾何編」をくさす。
「もし隣に矢野健太郎先生がいらっしゃっても、私は『解法のテクニック 代数幾何編』を使っている方は一次変換が出来るようにはならないと断言します」
返す刀で「解法の探求Ⅰ」(東京出版)と「山本の一次変換の基本」(代々木ライブラリー)を絶賛する。
■夏期講習の「理系数学ゼミ」のテーマは「グラフをはやくかく」で、友人に勧められて文系の私も受講したところ1日目だけで感動の嵐だった。ただし、2日目以降は「微分積分」の基礎のない私にとって泣きたくなるほどの難行苦行であった。
■不等式を解く際に極限値として「8千万」を代入する。一説には矢木師の年収で、徐々に増えてきていると言われていたが、後の「ホーム予備校」でも「8千万」を使っているところを見ると単にゴロがいいからであろう。
■旺文社から出ていた「数学Ⅰ・A大学入試基本技法演習250」という参考書の、問題ごとの要点の言葉づかいが矢木師の「Pt.」に不自然なほど酷似している(協力者は都立高校教師)。「数学Ⅱ・B~」は別の協力者なのでほとんど共通点がない。
■代ゼミから出ていた月刊誌「Alpha」に「センスアップ!数学」というコラムを連載しており、後にプリパスから出た「新版 センスアップ数学」にまとめられている。
■「ホーム予備校」(コアフィールド)というビデオ教材に出演している。2ndステージ5本で数Ⅰ、3rdステージ10本で代数幾何・基礎解析の範囲を講義。「不等式をはやくとく」や「グラフをはやくかく」(基礎解析の範囲のみ)を収録しているだけでなく、雑談までも収録された(爆)まさにBest Of 矢木数学。
■その昔、代々木ライブラリーから「三角関数の基礎」というビデオ教材が出ていたが、60分×3巻で2万1千円(税抜)という高値のため未見。
■代ゼミで配布していた「PASS」という雑誌(進路指導室にバックナンバーが置かれていた)の1987年2月号のコラム「講師室」でハンガリーの化学者ヘベシーについて語っているが、平凡社大百科事典(初版1985年)のヘベシーの項目を矢木師が担当しており(署名入り)、「索引」巻末の執筆者一覧に技術史、技術論の専門家として名前が載っている・・・が、「八」木哲雄と誤植されている(苦笑)。※追記:Yahoo百科事典で「日本大百科全書」に矢木師が執筆した記事を発見。
■矢木師が授業中に薦めた本のうち、奥村正二氏の「火縄銃から黒船まで―江戸時代技術史―」(岩波新書)に衝撃を受け、奥村氏の著書や技術史関連の書籍を読むようになった。卒論の参考書探しの際も、代ゼミに伺ってご指導いただいた。
■昨年(2006年度)、洗足学園音楽大学の一般教養で技術史を講義していた模様。音大生に聴かせるのは勿体ない。

[矢木語録]
■口癖は「断言」「本質」「定義」「感動」「たかだか」「こだわればこだわるほど」「難問になればなるほど」「意識的」「8千万」「道具」「入試の花形」「断然」「99%以上」「~すると楽」「~してもよろしい」「~が暗算で求まりますか」「~を知っていますか」「"0"の恐怖」「手を使って」「私の目から見ると」「粘りに粘れ」「ビリでもマグレでも受かる」
■「黙っていても3時間以上のめり込んで勉強できる教科が好きな教科」
■「自分の受かりたい大学の過去に出た難問がその大学のレベル」
■「できない人はいい参考書を持っていない」
by haruhico | 2007-01-08 18:25 | My Mentor
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