本来、この前には2話分のエピソードがあるのだが、取材時、「ゲーム博物館」の館長の岸昭仁さんに
会期中(~6/15)には必ずBlogにアップしますからとお約束した手前(今
HPを確認したら(株)バンダイナムコゲームスの協賛を得て
会期が1ヶ月延長になったそうです!)、繰り上げて書いている。
以前記事にした「ゲーム博物館」は1ヶ月半の限定開催なので、「思い立ったが吉日」と5月14日に行ってきた。例によって例のごとく、「ヴィクトリアマイル」の予想原稿に手間取り、書き上げたのは12時前。今年からGⅠが5連続になり、オークスやダービーを家で見るとしたら、行くのは今日か1ヶ月後しかないので多少遅いスタートだとは分かっていたが見物しに行くことにした。
大山はKが日大病院に入院していたこともあって多少土地勘があるが、ときわ台は初めてである。わざわざ池袋の先に行くのだから、「行きがけの駄賃」の一つや二つなければ割が合わないので毎度おなじみ「ミステリーファンのための古書店ガイド」を持っていく。
池袋から各駅停車に乗ってときわ台で降りる。「ガイド」はときわ台の古書店を3軒挙げているが住所だけで地図はない。ゲーム博物館の
地図から「たきざわ商店」の場所のアタリは付いたので、そのルートは帰り道に残しておいて線路沿いの道を歩くことにした。
東武ストアの横を抜けて一本道を行く。大きな通りにぶち当たったら右折して道なりに行った左手がゲーム博物館なのでぼーっと歩いていると左手に古本屋の看板が。意識していなくても私くらいになると古本屋の方から寄ってくる(笑)。
帰りは別ルートを取ることが確定しているのであんまり深入りしないことを条件に店に入る。
「高田書房」といえば
以前のルサンチマンにあるように江古田にもあるが、系列店なのだろうか?わざわざ確認しなかったが、フィギュアやCD・レコード中心の品揃えからして似た雰囲気を持っている。
ビートルズのアルバムやらB・C級アイドルのシングルやらお好きな人にはたまらない商品が並んでいるが、古本自体あまりないのでコレといった掘り出し物もない。外の均一箱に結構一杯入っていたが、一々チェックする時間が惜しいので「ゲーム博物館」へ急いだ。
「第1回空き店舗活用コンテスト」の優勝プランということで、商店街の空き店舗を使っていることは知っていたが、実際に目の前に立つとあまりの狭さと「博物館」という言葉のギャップにビックリする。
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中には3、4人の子供とカップルが10円ゲームに興じていた。まず館内をざっと見渡す。
HPで見ていたとはいえ、現物を見ると感慨も一入である。
両替機で10円玉に崩して
GRANDPRIXに挑戦する。確か小学校の前の文房具屋と近所の商店の店先にあったハズで何度も挑戦している。果たして20数年ぶりで体が感覚を憶えているのだろうか。
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1個目の10円玉は最後の最後でゴール出来なかったが昔よく落ちた③や④のOUTをクリアしたことは自信になった。100円ほど突っ込んでようやくメダルを1枚ゲット。
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記念に持ち帰りたい衝動に駆られたが、コレも館長さんのコレクションの内だろうからと自重する。
次に
FOOTBALLで遊んでみる。3カ所ゴールがあり、その内の1カ所だけしか通過出来なかったが、それでもメダルが出てきた。結構チョロい(笑)。
続いてその隣の
インターチェンジ。HPで見たときは仕掛けが全く分からずにあまり興味が涌かなかった(ガキの頃にやった記憶もない)が、やり出した途端にその構造を理解してハマってしまった。
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右上の硬貨入り口から10円玉を入れると右下の黄色いレーンに落ちてくる。10円玉をはじいて、勢いが弱いと右上の静岡インターに、勢いが強いと真ん中の名神入口にあらわれるといった神出鬼没ぶり。とにかく
行き先は10円玉に聞いてくれといった感じでひたすら翻弄される。GRANPRIXのようにレールの上を転がるだけでなく、穴に落ちて
「えっ!ゲームオーバー?」と思っても助かっていたりするからややこしい。
後から館長さんに「大当たりコース」を通ると別のカード(プラスチック製)が出てくると教わったが、そんなことは知らずに普通のカードを1枚出したところで打ち止め。
硬貨弾き系ばかり続いたので目先を変えて
ミニパスボールに移る。これも小学生時代に結構遊んだゲームだ。
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東京フレンドパークⅡの
Never Wipe Outはこの辺が元ネタなのだろう。ガキの頃には気づかなかったが、大人の目で見ればスライダーが下に行くに従って短くなっていることに気づく。つまり打ち出し角度を小さくしながら球の速度を上げなければならないという二律背反だ。2,3度チャレンジするが昔と変わらず4本目あたりで失敗続きのためクリアを断念。
さて、ついに
真打ちの新幹線ゲームⅡの出番だ。
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改めて目の前に立つと懐かしさがこみ上げてくる。まずは小手試し。ふんふんふーん、とGRANDPRIXをクリアした余韻に浸りながらやっていると、いきなり
名古屋のすぐ先のレールが切れていてあっさりゲームオーバー。えっ!こんなところに落とし穴が、と思ったが後の祭り。最初の難所は新大阪過ぎとばかり思っていて足元を掬われる。
気を取り直して再スタート。今度は引っ掛からずに新大阪過ぎの見せ場に。ここは強く弾くのがポイント、と思いながら弾くと中ほどの落とし穴に吸い込まれる。
いきり立ってまた10円を入れると、また名古屋の先の落とし穴に引っ掛かる。学習能力がないorz。
ガキの頃の小遣いならとっくにパンクだが、
財布だけは大人なのでまた両替機に100円玉を入れる。
挙げ句の果てに、新神戸をクリアしてよっしゃ!と思う間もなく
10円玉が岡山で止まらずにその先の落とし穴に真っ逆さまorz。そっかー、ここはそのために開いているのか。
とにかくやれどもやれどもお約束のトラップに引っ掛かって、10回やって右下の広島までたどり着けるのは1~2回というテイタラク。大人げなく数百円を費やしたが、当然のように
クリア回数ゼロ。昔は何度かクリアしているはずだが、やはり1回1回に対する集中力が違うのか。
アツくなった頭をクールダウンするために
ピカデリーサーカスと
エアーコマンドを始める。
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今出ている目の向かい側が出やすいというウワサがあったので、一応気にしながら賭ける。ガキの頃とは違い期待値を計算しながら「2」と「4」ばかり賭けていると程々コインが貯まっていくが、ちょっと欲を出すと一転して
3連続で「0」が出たりして気づけばコインがなくなっている。ハ、ハ、ハ、見事だ明智君。
他にも新しめのゲームがあったが、やる気が起きなかったのでコインと景品の交換ついでに館長の岸さんにご挨拶をする。「10円玉の棒を持って」と書いた…と自己紹介するとすぐ分かっていただけた。この手の趣味人共通なのだがものすごく外見が若い。同い年かヘタしたら年下かも、と思ったら年上でした。失礼しました。
景品となる駄菓子は色々並んでいたが、しばらく飲んでいないコーラとサイダーにした。今飲みながら書いているが気抜けのコーラとサイダーといった味。
ちょうど、子供がいなくなって館内に2人きりになったので、コレクションの苦労話を伺う。何といっても一番は置き場所だそうで、世のコレクター共通の悩みとはいえ、こういったゲーム機を家に置くのは、本を置くのとは別次元の悩みだ。入手やメンテナンスも一苦労だそうで、市場が狭い上に、店頭に雨ざらしになっていて(そういえば駄菓子屋が休みの日には黒いビニールカバーをかけて店先に置かれていた記憶がある)状態のいいものが少ないので、動くようにメンテナンスするのが大変なのだそうだ。岸さんのこだわりはレストアよりオリジナルで、それをコレだけ集めるのは並大抵の努力ではない。
新聞記事にあるように
「自分がやらねば誰がやる」といった気概がそうさせているのだろう。私も普通の雑書の他に、競馬新聞(多分国会図書館にも収蔵されていない)だの、90年代前半の○○だの、誰も集めないようなものをいくつか集めているので、その気概は痛いほど分かる。
岸さんのコレクションはゲーム機以外に、メーカーの制服やポスターなど幅広く、それらも博物館の壁に飾られ、一部はコインと交換で手に入れられるようになっている。壁にあるポスターで気になったのが「サイコソルジャー」(SNK)のポスターで、左隅にこんなものを発見。
知っている人は知っている"大魔神佐々木の前妻"で知られるB級アイドル清水香織である。デビュー曲の
「禁じられたヒロイン」のシスター姿がマニア間では有名だが、こんなお仕事もしていたのね。岸さんに伺うと私と同じリアクションをする人が結構いるとのこと(苦笑)。
岸さんの許可を得て筐体の写真を撮っていると、「内側も写しますか?」と言ってくださったのでお言葉に甘えることにする。こんな事でもなければ滅多に見られるものではない。
まず、インターチェンジの裏側。
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右側の電球がないあたり歴史を感じさせる。配線の感じから「大当たりコース」(左手のスイッチ)を通過すると下の赤い電球がつくのだろうか。
これが内部の全体像。当たりと大当たり用に2列カード入れが作られている。左側の青い回収箱がとってもレトロ。
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最後に基盤部分のアップ。電気的な処理はどちらのカードを出すかしかないのでとってもシンプル。
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続いて新幹線ゲームⅡの内部。1種類しかカードがないのでインターチェンジよりさらにシンプル。
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回収箱に
ボクのお金がいっぱい入ってるのでついつい未練がましくアップで撮ってしまう。
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新幹線ゲームを開ける際に、攻略法についてお話を伺うと、「岡山のところは
あらかじめ左手でレバーを引いて待てば引っ掛からないんですよ」と教えていただいた。ナルホド。
裏側といえば一番見てみたいのがピカデリーサーカスだ。コイン弾き系と違い電気的に動く部分がメインだし、何が我々をあそこまで翻弄するのか、正体を見たくなるのが人情というものだ。
まず裏側。予想通り配線だらけで
アナログ魂を感じる。黒いカウンターは総投入金額なのだろうか。
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これが内部の全体像。思っていたよりもコインの在庫量が少ない。これだとフルチャージしても
「30」×4枚に耐えられないのでは?そういう賭け方をしたら必ず外すようにプログラムされているのだろうか(爆)。
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そしてこれが客を翻弄する
悪魔の電子頭脳(笑)。こんなモノが入っていたんだ。
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遊んで取材して正味1時間ほど。大分遊んだつもりだったが1000円も使っていない。岸さんとのお話の中で出てきたがこの客単価の低さが衰退の理由でもあるのだろう。実際、この博物館も家賃と電気代(といってもたかが知れているそうだが)でトントンだそうだが商売としてそれでは成り立たない。
よくよく考えれば、インターチェンジや新幹線ゲームは
お金をオモチャにして遊ぶ贅沢(背徳的・爆)な遊びだが、インベーダーゲーム以降の電気的な「1」という数字よりずっと血が通っている。ピカデリーサーカスなどのルーレット系のゲームには
1枚が30倍になるなんてラッキーは滅多にないということを教わった気がする。
最後に備え付けのノートに感想を書いて博物館を出る。携帯で「ヴィクトリアマイル」の結果を見るとガチガチの本命決着orz。そういえば姉のダンスパートナーも古馬に開放されたエリザベス女王杯の初代勝ち馬だったっけ、と今頃思い出す。やっぱり30倍なんて簡単に出ないのだ。(続く)