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雖然知道但無法停止
by haruhico
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【物欲戦隊ルサンチマン】第15回 黄金郷(El Drado)への道(後編)
字数制限に引っ掛かって2回に分かれてしまいました。下の(前編)からお読み下さい。

○前回のあらすじ○
予定を変更して未踏の地伊勢崎をさまよい歩くルサンチマン。思いもかけぬ出物に喜びつつ、最終目的地の「ほんだらけ伊勢崎店」を目指す。

更に辺りは暗くなってくる。諦めかけたその時、ようやく「ほんだらけ」のどぎつい黄色地に若葉マークのような看板が目に入った。よかった。今、タイムスタンプを見るとたかだか10分程度しか歩いていないのだが、30分くらい歩いたような疲労感がある。
去年の高崎江木店は1階建て100坪だったが、伊勢崎店は2階建て280坪の広さだ。もう一度時計を確認する。ここを6時30分に出れば多分間に合うだろう。あと2時間か・・・楽勝だな、と思う。

1Fは雑誌やコミック中心だが、レジの真ん前にガラス張りのショーケースがある。何が並んでいるのかと見てみると、同人誌や推理小説やSFのプレミア本が鎮座している。SFは価値がわからないので、もっぱら推理小説をチェックしていく。値段的には微妙だが、珍しい本もいくつかある。しばらく見ていくと1冊の本に目が釘付けになる。おおっ!鮎川哲也「白の恐怖」(桃源社・1959)ではないか。先日ヤフオクで1万数千円も出して落札していなければ、ここで会ったが百年目、なのだが、幸いなこと(?)に既に持っているので平常心で見られた。状態は私が持っている本よりいい。1万円くらいなら買っちゃおうかしら、と思って値段を見ると参考出品の文字が。参考出品って何やねん!とレジのおねーちゃんに訊くと、値段が決められないから、だそう。もう一月前の話なので、今ではもう値段が付いて売れてしまっているかもしれないが。

山のように漫画本があるので、コレを見ていったら時間がなくなると同人誌のコーナーへ。こちらも結構あり、1冊1冊見られないので値段が見えるものをざっとチェック。高崎江木店もそうだが総じて高めに付いている。こんなん1冊千円も出して買うならもっと有効な使い道があるだろ、という感じの値付けだ。

1Fは早々に片づけて2Fに向かう。この分なら予定より早く帰れるんじゃない?と階段をゆっくりと上る。階段の右手がやはりガラス張りのショーケースになっており、プレミア付きの漫画本が置かれている。貸本漫画やら恐怖漫画やら、なかなかお目にかかれない代物ばかり。神保町でもこれだけの漫画本が一カ所にまとまっている店はちょっと思い出せない(古書センター2Fの中野書店か、すずらん通り奥の翠光堂書店か)。たまげたのはオリジナルなら250万円以上といわれる「最後の世界大戦」の中公コミックス藤子不二雄ランド版。15年ほど前の漫画なのに全集第1期の最終巻(301巻)ということもあってか定価398円に1万2000円の値が付いていた。長大なシリーズの最終巻ということで効き目(コンプリートする時の難所)なのだろうか。なんでも鶴書房から出たオリジナル(と復刻版)は2色刷で、中公版はそれを1色刷に落としているため読みづらいそうだ。藤子不二雄に思い入れがないのでどうでもいい豆知識だが。

階段を上がってすぐが「ガイド」にも書いてあるように「お宝本コーナー」。正直、あまり期待していなかったのだが、乱歩、正史といったところから絶版本が結構並んでいる。鮎川哲也もあるのだが、中でも存在を知らなかった三国隆三「鮎川哲也の論理」(展望社・1999)が780円(後日神保町の@ワンダーで見たら5000円!)。文庫本も角川を中心に絶版モノが結構ある。
左下は横溝正史の角川文庫だが、最近これだけまとまって正史を置く店も少なくなった。ちょうどこの文庫の棚の真向かいの棚で高田保「第2ブラリひょうたん」「第3ブラリひょうたん」(創元社・1951)を発見。幸い「ブラリひょうたん」を先日ヤフオクで落としていたのでこれでコンプリート(追記:残念ながら第4があった・笑)。ちなみにそれぞれ350円(+送料)、200円、200円。状態は良くないが、50年以上前の本と思えば仕方ないか。

壁づたいに趣味・実用系の本の棚へ移る。まず目を惹いたのが森伸之「OL制服図鑑」(読売新聞社・1998)。森氏の本は制服フェチの必須アイテムだが、新刊で買える本は現在全滅(カットを担当した本はあるが)。中を見ると今はもうない企業の制服が結構ある。銀行なんてさくら・一勧・三和と全滅だ(笑)。

次に小説の単行本の棚に移る。天井まで作りつけの本棚はいつ見ても圧迫感がある。著者名順に本が並んでいて、管理もキチンとしている。値段はまぁ普通か。ブックオフのように100円均一コーナーがない(正確に言えば入口のところに小さなコーナーがある)かわりにベタな本が100円で紛れ込んでいたりする。Amazonでずっとカートに入れっぱなしだった高木彬光・山田風太郎「悪霊の群」(出版芸術社・2000)があったので手に取る。定価の半値(800円)ならベストだが、そこまで甘くはなく950円。滅多に出る本ではないので、ある時に買っておく。以前紹介した坂東義教先生の「坂東先生のテレビ寺子屋」(サンケイ出版)が100円で出ていたので貸出用に買う。最後に甲野善紀・黒田鉄山「武術談義」(壮神社・1988)が1300円。そろそろ文庫化してもおかしくないタイミングなので、さんざん「こうたやめた音頭」を踊った末に決断。

この辺で棚の上から下まで見るために立ったり座ったりしたせいか頭がクラクラしてくる。もちろん、風邪のせいもあるし、1日の疲れもある。だが、まだ文庫の棚が丸々残っている。

もういい加減手首が痛くなるほど買っているので、滅多に買えない物だけをチェック。幻の角川びっくり文庫の新保博久「3分間探偵ゲーム」(角川文庫・1981)が100円。びっくり文庫をコンプリートしようとは思わないが、結構長い間探していた本がひょっこり出てきてまさにビックリ。谷沢永一・向井敏「読書巷談 縦横無尽」(講談社文庫・1985)も以前買った物の文庫版だが100円ならノープロブレム。神保町だと時折4ケタの値が付いていることもある種村季弘・高柳篤「新版遊びの百科全書2 だまし絵」(河出文庫)が330円。新書にはあまり面白い物がなかったが樋口清之「説得力」(徳間書店・1978)が100円。樋口先生の本でこういうタイトルの本は記憶にないので手一杯だが押さえておく。

残るは専門書の棚だがもう集中力が残っていない。それでも目を走らせていると見慣れない本が。谷口巌「南京大虐殺の研究」(オフィスPANO・1984)480円。出版社がマイナーだし、ざっと目次を見る限り読んでも大丈夫そう(笑)なのでカゴに入れる。さすがに立っていられなくなって店内にあるベンチに腰を下ろす。時計はもうすぐ7時を指そうとしている。予定の準急にはもう乗れない。

階段を下りてレジで精算する。何度かほんだらけに行っているもののメンバーズカードを作っていなかったのでついでに作る。一応自転車で行ける範囲(苦笑)に1店舗あるので使えなくもないだろう。〆て5140円。ポイントが25ポイント。あれ?このポイントってまさか1ポイント1円じゃないよね・・・。しかも有効期限が3ヶ月orz。ブックオフのサービス券に有効期限なんてあったっけ?と思って見たら6ヶ月だった。6ヶ月間1度も行かないことはあり得ないので期限などないも同然だ。

外に出ると真っ暗闇。傘を差してとぼとぼと歩き出す。荷物があるせいか足取りが重い。アタマの中の地図では伊勢崎駅まであと3キロほど。30分で着くだろうか。というか、この雨の中あと30分歩くのかと考えると塞いでくる。デジカメで撮った時刻表をもう一度見る。新伊勢崎8時09分ということは伊勢崎駅を8時過ぎに出る勘定になる。まだ終電というわけではないが決して楽観出来ない。何より明日からまた仕事だ。

県道はそれなりに通行量があるもののタクシーなんて全く通らない。だいたい駅に電車が来ないんだし、群馬県は女性の免許取得率全国一の県だ。タクシーを探しているヒマがあったら先を急ぐべきだろう。5分ほど歩くがまだ新伊勢崎駅すら全然先だ。風邪のせいで全身がだるい。急行で家に帰る時間を短縮するより、タクシーで伊勢崎駅に着くのが先決と方針を変える。交差点で信号待ちをしているとそこへタクシーが通りかかった。表示を見るとまだ空車!即座に手を挙げて合図する。助かった。

ワンメーターで着くだろうと思っていたら意外にかかってビックリ。意地を張って歩いていたらと思うとぞっとする。駅に着いたのが7時20分ごろ。29分発の準急浅草行きがあるのでコインロッカーから荷物を引っ張り出して切符を買う。改札を抜けるともう電車が入っていた。写真を撮るのもソコソコに電車に飛び乗る。時間が時間だけにガラガラだ。角のシートに腰掛けてようやく人心地着く。あと2時間。よく考えたら夕飯を食っていなかった。力が入らないはずだ。

太田を過ぎたあたりで記憶が飛んだ。目が覚めたのは春日部かせんげん台。無事乗り過ごさずに帰宅することが出来た。
by haruhico | 2005-12-16 02:14 | 物欲戦隊ルサンチマン
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