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雖然知道但無法停止
by haruhico
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【物欲戦隊ルサンチマン】第4回はじめての開店荒らし[後編]
○前回のあらすじ○
誕生日に新規開店したブックオフ竹ノ塚店を荒らしに有給休暇を取ったルサンチマン。ブックオフで思ったような成果はあげられなかったが、昼飯に2年ぶりの「牛すじカレー」を堪能し、エネルギー充填120%だ。

さて、次はどこへ行こうか。平日しかやっていない店が多い高田馬場へ移動しようかと思ったのだが、このまま総武線に乗って新宿で乗り換えて高田馬場に行くのも芸がない。そういえば、日曜日はやっていない文庫川村もしばらく行っていない。まだ時間はあるので行ってみるかと坂を下る。これが魔空空間への入り口だった。

坂を下る途中に吉野屋がある。ソースかつ丼だけでなく"当店限定"で炙りチャーシュー丼もあるそうだ。

今メシを食ったばかりなので当然スルー。当店限定でこんなPOPが出せるワケがない。もうだまされないぞ。

久しぶりの文庫川村である。中1の夏に親父に連れられてクイーンとクリスティの創元推理文庫をここで大量に買ってもらったのが思えば古本道の始まりだ。つまり自分の原点である。100円均一台をとりあえずチェック。こういう専門店に出物がないのは分かっているが川喜田二郎「パーティー学」(現代教養文庫・1969年)を発見。面白そうだし100円なので購入。棚には古い文庫や岩波新書がうずたかく積まれているが、相変わらず興味の対象になるものはない。

普段ならそのまま直進してすずらん通りに出るところだが、後戻りしてファーストキッチンの前を右に曲がってみる。途中で下品な看板を発見。

ホルモン焼き屋だけに確信犯なのだろう。

向いにサブカルチャー専門店虔十書林を見つける。中を覗くと結構いい値がついている。レジ横の棚を見るとそこにはなぜか谷沢先生のデビュー作「大正期の文芸評論」(塙書房)が。1冊1500円。高いのか安いのか分からないが、同じ本が3冊もあるのでとりあえずスルー。他にもなぜか谷沢先生の初期評論の揃いがいい。

店を出て辺りをさまよう。近頃トンとこの辺を散策していないのでどこに何があるのか全く分からない。ウロウロしているうちに遊べるヴィレッジヴァンガードの看板を発見。

店の名前はどこかで聞いた記憶があるが、どんな店だか思い出せなかったのでとりあえず入ってみる。山積みのいかチョコいかチョコホワイト干梅チョコ(全てタクマ食品が入口でお出迎え(苦笑)。あれ?ココって本屋さんじゃなかったっけ。

さらに積まれているドリンクの中から怪しげなブツを発見。

「目玉のおやじ汁」って、茶碗ぶろの中身はゆず湯かよっ!

しかも「ゆず果汁4%未満」って中途半端やなぁ。

裏返すと水木プロダクションとのライセンス契約に基づいて作られているらしい。道理で190ml缶の分際で189円(!)もするワケだ。飲んでみた
が普通のゆず味。缶に価値を見出せなければボッタクリもいいところ。

よく見ると雑貨だけでなく本も置いている。しかも相当トッポイ品揃え。「ぼくドラえもん」01が山積みってどういうことだよっ!プレミア付きじゃなかったのか?漫画本も諸星大二郎だとか花輪和一だとかフツーの本屋に置いていない本がよく揃っている。

クラクラする頭を抱えつつ、入ったところと反対側に出るとまた古本屋の看板が見えた。ビルの2Fにある喇嘛舎という古書店。サブカル・アングラ・芸能関係の揃いがいいが、勿論お値段も相応なので早々に退散する。

少し行くと「日本特価書籍小売部」の看板を掲げている長島書店にたどり着く。「特価書籍」というのはいわゆるゾッキ本の類であろう。つまりココの値段が日本最安値で、あと地方に下る毎に中間マージンが乗っていくわけだ。外には「別冊幻影城」1978年1月号が束になって置かれていた。

私が神保町で500円で買ったのは10年前のことだが、まだ在庫があるのかとビックリする。店によっては1冊2000円強で出ていたりするのだがこの扱い方(笑)。

中には十八禁の本が一杯だが、それ以外のお堅い本も結構ある。普段はあまりまじめに見ない文芸書の棚も、値段が安ければと真剣にチェックする。すると、先程虔十書林で見かけた谷沢先生のハードカバーが定価の半値近くでゴロゴロしている。しかも、初期評論集の「牙ある蟻」(冬樹社・1978年)やら「読書人の園遊」(桜風社・1978年)やら「閻魔さんの休日」(文芸春秋・1983年)やら15冊ほど。先程ブックオフで買ったばかりの「人生の英知」も混じっていて(こちらの売価は800円・苦笑)、えーと、これは多分さっき買ったヤツだと思うけど…と迷いながら置いてきた。荷物になるので本当に安いものだけ買って、後の分は翌日買い直した。普段ならこの値段だと躊躇するのだが、ゴソッとあったのと神保町の空気に飲まれてつい買ってしまった。

あと、谷沢先生絶賛の「プルターク英雄伝」の著者、澤田謙の手になる「ヒットラー傳」(大日本雄弁会講談社・1940年)が1000円で並んでいたので、当時の日本の子供向け偉人伝はどんなものかと思い購入。

もちろん発行年が発行年だから、まだまだヒトラーの前途は洋々(爆)な終り方である。

地下はコミック専門だというので胸を躍らせて階段を降りる。ところが、予想よりも古めの本ばかりで、評価の定まった巨匠のモノ中心(当然、相応のお値段)だったのでこちらは収穫ナシ。

時計を見るともうすぐ3時。今から高田馬場に行っても、暗くなるまでに見られるのはせいぜい1時間ちょっとなのでこのまま神保町に居ることにする。

急にトイレに行きたくなったので近くのゲーセンに入るが中が迷路のようでトイレがどこにあるのか分からない。他に神保町で気軽に入れるトイレといえば…

ポク、ポク、ポク、チーン!あそこだ。

神保町の交差点を渡って神保町古書センターに入る。男子トイレは8Fなのでエレベーターで上がって用を足す。帰りは階段をダラダラと降りて2Fの中野書店へ。漫画の揃いがいいのが"売り"なのだが、懸案の「ドクトル・ノンベ」の2巻はやはり見つからず。他の出物もなく外に出る。

長年通い慣れたすずらん通りを歩いていると見慣れぬ看板を発見。

「ゴホントイエバ キントト文庫」龍角散の本歌取りで中々洒落たコピーである。趣味・風俗・芸能・東京・昭和・玩具に関する本が専門だという。エラく偏った品揃えのようだ。狭い階段を上がった2階にその店はあった。まず入ってビックリするのは10畳ほどの一室が本棚で3つに区切られている。つまり棚と棚の間が1デブ線もない。半身になってようやく通り抜けられるのだから、向こうに先客が居たら二進も三進も行かなくなる。下の棚を見るのに体を曲げる余裕もない。必然的にヒンズースクワットの繰り返し(笑)。根性で奥から一通り見ていくうちに芸能の棚にたどり着く。落語、演芸、映画などの揃いがいい。まるで広小路の上野文庫のようだ…と思ったらどうやらつながりがあるらしい。芸能の棚をつぶさに見ていくとトンでもない本を発見。

知る人ぞ知る盗作ヒット曲の大辞典「ドロボー歌謡曲」(データハウス・1987年)である。

高校の時に同級生のラッシャー鈴木君から見せてもらって以来ずーっと欲しいと思いつづけてきた本だ。手にするのは今から10年以上前に前出の上野文庫で1500円で見かけて以来だ。お値段はグッと上がって3000円。ただ、パクリを語る上で避けることが出来ない基本文献だし、ここを逃すと今度いつ逢えるかわかったもんじゃない。散々「買おか止めよか買うた・やめた音頭」を踊った末に「えーわえーわ、誕生日やから」と春やすこけいこの暴走族漫才のような開き直りでレジに向う。

外に出るともう4時過ぎ。まだ家に帰るには少し早いので秋葉原まで歩くことにした。淡路町の交差点を曲がって昌平橋の交差点から線路沿いに歩いていると怪しげな看板が。

不動産も古本も他人の持ち物を買い取って売りさばく商売には違いない(笑)が何分扱う金額の桁が違いすぎる。そもそも何でこんなところに古本屋が。少し先には幟まで出ている。

路地を覗くとこれ見よがしに「古本」の文字が。

怪しい、怪しすぎる。でも確かに不動産の広告も掲示されている。

中に入ると、一応は古本屋の体裁は整っている。しかし、並んでいる本からは何か違和感を感じる。確認したわけではないが、本の偏り具合から店の人の蔵書をそのまま売りに出しているような感じだ。一通り棚を眺めるが欲しい本は皆無。店の中はほぼ完璧に古本屋で、この中で不動産売買の商談をしても信用ゼロのような気がする(苦笑)。

中央通りを渡って道なりに行くと「ロケット」の外に古本売り場がある。

店の中にも105円均一棚があって大半が文庫本である。どこから仕入れてるのか知らないが、こんなところにお宝なんぞあるわけが…ぬぉ?

なんで小泉喜美子の「血の季節」(文春文庫・1986年)が超美本であるんだよ!ふるほん文庫やさんに頼んだら、1080円もする上に在庫切れって言われたんだぞ!ということで速攻GET。濱口ばりの「獲ったどー」を心の中で叫ぶ。

実り多き誕生日であった。明日は会社だ。
by haruhico | 2005-01-03 11:31 | 物欲戦隊ルサンチマン
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