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雖然知道但無法停止
by haruhico
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佐藤竹善「THE HITS CORNERSTONES 3」を聴いて
佐藤竹善 「THE HITS CORNERSTONES 3


01.はじまりはいつも雨 / 原曲:ASKA
02.木蘭の涙 (with コブクロ) / 原曲:スターダストレビュー
03.Get Back In Love / 原曲:山下達郎
04.らいおんハート / 原曲:SMAP
05.君住む街へ / 原曲:オフコース
06.Ya Ya (あの時代を忘れない) / 原曲:サザンオールスターズ
07.Interlude
08.Last Christmas / 原曲:ワム!
09.トーキョー・シティ・セレナーデ / 原曲:クリストファー・クロス
10.Right Here Waiting / 原曲:リチャード・マークス
11.素直になれなくて / 原曲:シカゴ
12.The Continental / 原曲:ナット・キング・コール

めったに映画を見ないだけでなく、CDも1年ほど新品を買うことがなかった(レンタル落ちを少しだけ)。好きなアーティストが寡作なせい(?)もあるが、聴きたいと思うような邦楽がほとんどなかったのがCCCD嫌いを上回る理由である(元々洋楽はほとんど聴かない)。

それだけに佐藤竹善の新譜「THE HITS CORNERSTONES 3」には期待していた。なにせ、発売日1日前にとりあえず店頭をチェックしたくらいだ。

以前、キャイーンの番組でウドにピアノの弾き語りで女を口説く講師として竹善氏が出演した時(なぜかキャイーンと仲良しなのだそうだ)、サンプルとして、Elton Johnの「Your Song」、チューリップの「青春の影」、尾崎豊の「I LOVE YOU」をスラスラと弾き語りしてえらくカッコよかった(ウドがその真似をして散々だったのは当然)のを憶えていたので、まぁ大ハズレはあるまい、と安心していたのである。

なにせ、今回は過去2作と違い大半が邦楽の有名曲である。洋楽も、私の大好きなChristpher Crossの「Arthur's Theme」とシカゴの名曲「Hard To Say I'm Sorry」が入っていて、もうお腹一杯なラインナップ。あとはどれだけ聴かせてくれるか、というレベルの妄想を抱いていた。

ところが第一感は、「あれっ、こんなもん?」である。

1曲目の「はじまりはいつも雨」はこんなところであろうが、2曲目の「木蘭の涙」はキーが1つ低い上に、3人ともバックコーラス向きの声質なので、ハモってもメインが誰だかよく分からない状況。決して竹善氏に取れないキーではないはずなのでソロで"根本要キー"で歌ってくれた方がどんなによかったか。

3曲目の「GET BACK IN LOVE」もある意味想像の範囲に収まった手堅いお仕事。4曲目の「らいおんハート」は5人で唄った曲を1人で唄うのだから当然のようにサビが寂しすぎ。コブクロの2人が入るならむしろこちらでは?

5曲目の「君住む街へ」は丁度「木蘭の涙」の逆。主張の強い要氏の声に完全に喰われている。ハモリパートで要氏の声の方が通るのは本末転倒のような気がする(原曲を知らないので断言できないが)。私はSLTもコブクロもスタレビもファンなのでこういう書き方は本来したくないのだが。6曲目はサザンの「YaYa(あの時代を忘れない)」。他の曲に比べて妙に原曲に忠実な録音。全曲この調子の方が私は評価したと思う。

7曲目はInterlude。次回作のプロモーションか?

8曲目は「Last Christmas」は現在ドラマの主題歌として流れているだけにタイムリーだが、失恋ソングをこんな明るいアレンジしていいんかい?という違和感。9曲目は既にドラマで聴いているので驚きはないが、やはり♪Moonlight Tokyo Cityはヘンだ。10曲目の「Right Here Waiting」は聴いたことのない曲なので、オリジナルとして聴けばこんなもんか、という感じ。

11曲目の「Hard To Say I'm Sorry」もアカペラにしたことで平板な印象に。12曲目の「THE CONTINENTAL」も原曲を知らないのだが、Nat King Coleの曲だそうだから、ビッグバンド風のアレンジも原曲に忠実なのだろう。竹善氏が楽しそうに唄っているのが分かる。竹善氏の芸達者ぶりが出た1曲。

ライナーノーツを読むと「誰もが知る曲たちだからこそ、より佐藤竹善の個性が全面に満ち溢れていることが大事だろう」という意図らしいが、個人的には逆だと思う。誰もが知る曲だからこそ、素のままの竹善氏の声を原曲に重ねることで違いがより際立つはず。これだけ原曲をいじってしまうと比較しようがないからだ。だから、このアルバムでベストを選ぶなら12曲目の「THE CONTINENTAL」か。

ついでに手持ちの他の歌手のカバーアルバムを聞き込んでみる。

まずは
オムニバスの「ラブ・ストーリー~小田和正ソングブック


01.キラキラ / ミッキー・トーマス
02.さよなら / クリストファー・クロス
03.YES-NO / ジェイソン・シェフ
04.WOH WOH / デイヴィド・ラズリー
05.ラブ・ストーリーは突然に / ボビー・キンボール
06.MY HOME TOWN / ビル・チャンプリン
07.MEDLEY / ランディ・グッドラム
08.君にMERRY X'MAS / ボビー・コールドウェル
09.ENDLESS NIGHTS / ランディ・グッドラム
10.時に愛は / ビル・チャンプリン
11.こころは気紛れ / ミッキー・トーマス
12.秋の気配 / デイヴィド・ラズリー

このアルバムの白眉は2曲目のChristpher Crossによる「SAYONARA(さよなら)」で、あとはオマケである。AmazonのレビューでBobby Caldwellの「MERRY X'MAS(君にMERRY X'MAS)」を褒めている人がいるが、全然良いと思わない。

「SAYONARA(さよなら)」でChristpher Crossは、原曲のままのアレンジを原曲キーで唄っているため、逆にChristpher Crossの個性がはっきり伝わり、オフコースの「さよなら」とは違った魅力を醸し出している。カバーとはこうあるべきだと思う。知日家である彼ならではの1曲。

もう1枚は「CORNERSTONES」と同じ方針の
槇原敬之「Listen To The Music


01.蒼い月の夜~Lady In Blue~
02.海と少年
03.秋の気配
04.Rain
05.ミス・ブランニュー・デイ
06.君に,胸キュン。
07.David
08.朧月夜
09.春よ,来い
10.MONKEY MAGIC
11.空と君のあいだに
12.月の舟

奇しくも「ラブ・ストーリー」と「Listen To The Music」共にオフコースの「秋の気配」が入っているが、槇原の圧勝である。全く自然に槇原の曲として聴いていられる。

8曲目の「朧月夜」のような唱歌こそがある意味究極のカバーで、(アレンジで多少小細工しているが)槇原が唄うならこうなるだろう、という予測を全く外さない。それは松任谷由実の「春よ来い」や中島みゆきの「空と君のあいだに」という女性ヴォーカル曲を唄ってもそうだ。つまりモノマネ番組の「~の真似で『…』を唄う」というのをご本人が挑戦してくれるというのがカバーアルバムの醍醐味だと思う。少なくとも私はそういう期待をしている。そこでヘンに原曲から離れるくらいならオリジナル曲を唄えばいい。

結論として「CORNERSTONES 3」の評価は、アタリでもハズレでもない、といった所か。ただ、これだけの材料を使って竹善氏が出したものとしては、正直不満を抑えることが出来ない。
by haruhico | 2004-11-07 22:35 | 書評
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