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雖然知道但無法停止
by haruhico
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素直になれなくて
RSS配信しているので、近頃「ダイヤモンドONLINE」をよく読むのだが、この間、絶望的にひどい記事があった。

人は統計的な発想が苦手だ|マーケットで成功するための投資の心理学
http://diamond.jp/series/hayashi/10005/

少し長い記事なので要点だけ端折る。

>以下は、タクシー問題と呼ばれるものである。よく考えてから答えていただき
>たい。
>【問題】
>ある街では、(緑色タクシー会社と青色タクシー会社の2社しかなく)タクシー
>の総数のうち85%が緑色の車体、15%が青色の車体である。あるとき、
>その街のタクシーによるひき逃げ事件が発生した。目撃者の証言によると
>「犯人のタクシーは青色」。その証言がどのくらい正確かを事故のときと同じ
>ような状況下でテストしたところ、80%の確率で正しく色を識別できるが、
>20%の確率で実際とは逆の色を言ってしまうことがわかった。証言通り、
>青タクシーが犯人である確率はいくらか?
> 「よく考えてから答えていただきたい」と書いたので、正解者が多いことを
>期待したいが、直感で答えると多くの人が間違えるという。

解答はこちらを見ていただくとして、証言者が青と言った時の確率だから、そこまで考えが及ばなければ12%と答えても仕方ないだろう(なぜ80%とアメリカ人の大半が答えたのかは謎だが)。

ところが、次の問題からこの先生はとんでもない暴走をはじめる。

>【問題】
>例えば、Aさんに子どもが2人いるとする。うち1人は女の子であることが
>わかっている。残りが男の子の可能性はどうだろうか。
>直感的には、半々と思うかもしれないが、それは
>間違いだ。世の中で無差別に2人のペアを作ると、あるいは、世の中の
>2人キョウダイ(兄弟・姉妹)すべてを調べると、2人の性別の可能性は
>4通りで、「男・男」:「男・女」:「女・男」:「女・女」
>=1:1:1:1(「男・男」:「男・女」:「女・女」=1:2:1)である。
>ここで、Aさんの子どものうち1人は女であるから、「男・男」の可能性はない。
>したがって、Aさんの子どもの性別の可能性は、「男・女」:「女・男」:「女・女」
>=1:1:1(「男・女」:「女・女」=2:1)。つまり、残りが男の子の可能性は、
>3分の2だ。

自分で何を言っているのか分かっていないようだ。
年齢を考慮しない2人キョウダイの組み合わせは3通りしかない。もちろん、「男・男」「男・女」「女・女」だ。生まれた順を考慮するのであれば、「兄弟」「兄妹」「姉弟」「姉妹」の4通りだが。
Aさんの2人の子供のうちの1人が女の子であれば、もう1人が男か女の確率が1/2であることは直感だろうが何だろうが正しい

仮に生まれてきた順を考慮するのならば、女の子が姉ならもう1人は弟か妹で1/2。妹ならば兄か姉の1/2。どこまで行っても確率は1/2(一人目が女の子確定なので、1/2*1/2+1/2*1/2)である。

勝手に「男・女」と「女・男」を区別(生まれた順を考慮)しながら、一人目の女の子の生まれた順を考慮しない(仮に姉ならば「男・男」「男・女」のパターンが消える)ポカをしながら全く気づいていない。

こんなインチキな詭弁を書いていて経済学部の教授でございというのだから(出身は法学部のようだが)驚かされる。

更に驚くことは、記事の反響に対する筆者のリアクションである。

>キョウダイの性別問題も新聞に寄稿したのだが、その反響はすご
>かったらしい。クレームの電話がいっぱい来ている
>いうのだ。
>「答えは2分の1ではないのか」というものだ。例えば、メールで転送されて
>きた、ある読者のコメントは、「男女の確率が1:1なら無作為に2人選んで
>一方が女なら、他方が男の確率は独立事象なので、どんなにがんばっても
>2分の1です」というものだった。
>電話の対応に困るので、「読者が納得しやすい説明をしてください」と担当の
>デスクがいう。私は、ほぼ以下のように電話口で答えた。
> 「がんばろうががんばるまいが、答えは同じなのは当たり前ですね。『どんな
>にがんばっても』という表現は、執筆者を馬鹿にしたいということなの
>でしょうが、はっきり言って、その人こそ愚かです。そういう勘違いを
>する人がいるといって教えているのに、それでも自分が正しいと
>考えて、疑うこともない。聞く耳を持っていない。うーん、困った
>ものです。こういう人は、相場には向かないでしょうね。他方が男の確率は
>独立事象ではないなどと、私はまったく言っていません。しかし、サイコロを
>振って次に出る目の確率を聞いているのではないのです」(中略)

赤字の部分をそっくりそのまま熨斗を付けて送り返したいと思うのは私だけではないだろう。

>実は、その連載の同じ回に、「タクシー問題」も書いていたのである。しかし、
>2人キョウダイの性別問題には質問が殺到したのに、
>タクシー問題には、前述のように質問は1つだけだった。タクシー問題のほう
>に質問が多そうなものなのに、2人キョウダイの性別問題に質問が集中した
>というのは興味深い。おそらく、質問(というより、クレームか)してきている
>読者は、タクシー問題は、端から理解できない、理解しようとしない人なの
>ではなかろうか。

読者をバカにするのもいい加減にしろ。というか、編集者がまず気づけ。

そもそもタクシー問題の解答が正しくて、キョウダイ問題の解答が間違っていたと考えるのが道理だと思うが(嗤)。「バカの壁」とはさほど高いものなのか。

私よりずっと確率統計に詳しい方は裏付けでも反論でもどっちでも良いのでコメントしてください。私が間違っていたときには素直に謝ります(笑)。
by haruhico | 2007-12-25 01:32 | バカ
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